大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

長崎地方裁判所 昭和61年(わ)341号 判決

本店の所在地

長崎県下県郡美津島町大字大船越八〇番地

合資会社 万関真珠

右代表者無限責任社員 柴原義雄

本籍

長崎県下県郡美津島町大字大船越八〇番地

住居

右同所

会社役員

柴原義雄

昭和一六年九月五日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官川畑毅出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人合資会社万関真珠を罰金一五〇〇万円に、被告人柴原義雄を懲役一年四月にそれぞれ処する。

被告人柴原義雄に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人合資会社万関真珠(以下、「被告会社」という。)は、長崎県下県郡美津島町大字大船越八〇番地に本店を置き、真珠養殖等の業を営むもの、被告人柴原義雄は、同会社の無限責任社員として、その事業全般を統括しているものであるが、被告人柴原は、被告会社の右業務に関し、法人税を免れる目的をもって、同会社の売上げの一部を除外し、仮名の定期預金としてこれを預け入れるなどの方法で所得を秘匿した上、

第一  昭和五七年四月一日から昭和五八年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得額は、二〇九二万三六六六円で、これに対する法人税額は、七八二万七六〇〇円であったにもかかわらず、同年五月二四日、同県同郡厳原町大字桟原三八番地所在の厳原税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は三四二万九一五四円であり、これに対する法人税額は、一〇二万八七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額六七九万八九〇〇円の法人税を免れ

第二  昭和五八年四月一日から昭和五九年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得額は、八一七一万五一六一円で、これに対する法人税額は、三三三六万〇三〇〇円であったにもかかわらず、同年五月三一日、前記厳原税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は、四三九万二四二四円であり、これに対する法人税額は、一三一万七六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額三二〇四万二七〇〇円の法人税を免れ

第三  昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得額は、五二五六万〇〇八〇円で、これに対する法人税額は、二一七七万四四〇〇円であったにもかかわらず、同年五月三一日、前記厳原税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は、二三二万五七八八円であり、これに対する法人税額は、七二万〇七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額二一〇五万三七〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示各事実につき

一  被告人柴原義雄の当公判廷における供述

一  被告人柴原義雄の検察官(二通)に対する各供述調書

一  被告人柴原義雄の大蔵事務官に対する質問てん末書一一通

一  被告人柴原義雄の大蔵事務官に対する申述書

一  武富章、山下長左衛門、醍醐優、磯和彦志、柴原勘十(三通)、神崎修(二通)、松本進、星野恒博の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  神崎修の大蔵事務官に対する申述書

一  高村義宣の大蔵事務官に対する上申書

一  被告会社の商業登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲3)

一  押収してある被告会社に対する昭和五八年三月期法人税確定申告書一綴(昭和六一年押第七一号符3)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲4)

一  押収してある被告会社に関する昭和五九年三月期法人税確定申告書一綴(昭和六一年押第七一号符2)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲5)

一  押収してある被告会社に関する昭和六〇年三月期法人税確定申告書一綴(昭和六一年押第七一号符1)

(法令の適用)

被告会社及び被告人柴原義雄の判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人柴原義雄については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金一五〇〇万円に、被告人柴原義雄については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年四月にそれぞれ処し、被告人柴原義雄に対しては同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 玉城征駟郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例